箱の上に立って
両手をあげて「ばんざーい!」と叫んだ
あの日。
あれは
私にとっての
最初の冒険でした。
たったそれだけの行動なのに
私の心の中では
確かに何かが動き始めていました。
そして――
次に現れたのは、思いがけない光景でした。

そびえ立つ塔――箱から出た私の心に現れたもの
箱の外に出た私の前に現れたのは、
見上げるほど高くそびえ立つ塔でした。
これはイメージをもとに作った私の作品です。
どこか不気味で、
近づくのをためらってしまうような
そんな塔。

「中に入る…?」
「それとも、このまま立ち去る…?」
正直、怖かったんです。
このイメージは、
セラピーのセッション中で
自然と浮かんできたものでした。
そのときセラピストさんは
何かを指示することもなく
無理に背中を押すこともなく
ただ静かに問いかけてくれました。
「……どうする?」
急かされない、正解を求められない。
そんな安心感の中で
私はあたりを見渡しました。
でも、そこには
相変わらず緑の原っぱが広がっているだけ。
他に行く当てはありませんでした。
そこで私は、意を決して――
甲冑を身につけ、
剣を持ち、塔の中へ入ったのです。

塔の中――螺旋階段の先にあったもの
塔の中には、
上へと続く螺旋階段がありました。

一段一段
足を運ぶたびに、
胸の奥がざわざわする。
最上部には、
小さな窓がひとつだけあって、
そこから細い光が差し込んでいました。
その光が当たっている壁に――
一枚の絵が掛けられていたのです。

塔の中の絵――恐れの正体
その絵には、
二人の人物が描かれていました。

黒い人物が立っていて
その前に
青い服を着た女の子が膝まづいています。

この青い女の子は、
子どもの頃の私。
当時の私は、
黒い人物が誰なのか
まったく分かりませんでした。
「母親かな?」
「学校や社会のルール?」
「守らなきゃいけない“何か”?」
そんな風に思っていました。
でも今、あらためて感じるのは――
この黒い人物は、私自身だった
ということ。
「こうしなきゃ」
「ちゃんとしないと居場所がなくなるよ!」
そう言って
自分を厳しくコントロールしていた、
もう一人の私。
私は、
しばらくその絵を、じーっと眺めていました。
心の世界~現実では起きないことが起こる場所
心の旅の面白いところは、
現実では絶対に起こらないことが
心の世界では起こるということです。
この時も、まさにそうでした。
突然――
青い服の女の子が、
黒い人物から
スタコラサッサと逃げ出したのです。


塔の高さが半分になった
そのあと、私は螺旋階段を降り
塔の外へ出ました。
するとセラピストさんが、
こんなふうに声をかけてくれました。
「もう一度、塔を見てみて。どうなってる?」
振り返ってみると――
不思議なことに、
あの高くそびえていた塔が
入る前の“半分の高さ”になっていたのです。

驚きました。
そして
自然とこんな感覚が湧いてきました。
「……ああ、
私の中の“怖さ”が、半分になったんだ」

恐れは
向き合うことで
姿を変えることがある。
この体験は
私にとって
「恐れの正体」を知る
最初の大きな気づきでした。

次回は、塔の先に広がっていた世界へ。
恐れの奥にあった
思いがけない「心の風景」をお話しします。
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