「病気の自分」だから
愛されている気がする。

そんな想いに、やさしく寄り添うお話です。

はじめに:病気と心のつながり

がんと向き合っているとき
身体の不調だけでなく
ふと心の奥から何かが語りかけてくる
瞬間がありませんか?

「このままでいいのかな」
「本当は、どうしたいんだろう」――。

私は、がんを経験されている方々と
向き合う心理セラピストとして
日々「心と病」のつながりについて
想いを馳せています。

以前、疾病利得というテーマで
記事を書いたことがありました。

この記事

【がんと心】愛を得るための切ないがん

病気でいることで
周囲からの愛情や安心を感じられる

そんな無意識の心の動きに、私たちは
時として助けられているのかもしれません。

今回は、心理学の巨匠カール・ユングの
少年時代のエピソードを通して
「病気でなくても愛される自分」について
あなたと一緒に、一歩 踏み出せたらと思います。

 

ユング少年の
「逃げ道」と目覚め

ユングはのちに、世界的な心理学者として
多くの人の心を解き明かしていきますが
少年時代は深い葛藤の中にいました。

内向的で、運動も勉強も苦手。
とくに数学に苦しみ、「劣等生」と見なされる
ことが彼の心を重くしていました。

 

ある日、彼は学校の帰り道で頭を打ち、
それをきっかけに意識を失うような発作が
起こるようになります。

不思議なことに、その発作は決まって

「学校に行きたくない」
「プレッシャーがつらい」

と感じたときにやってきました。

その発作によって、ユングは学校を休み
家で本を読んだり空想にひたったりする
時間を得ることができたのです。

しかし、彼の中に
こんな気づきが芽生えていきます。

「これは…僕が自分を守るために
作り出した“逃げ道”なのかもしれない」

 

そしてある日
父親が友人に話す声を耳にします。

「このままでは、あの子の将来が
閉ざされてしまうかもしれない…」

 

その言葉は
ユングの心に雷のように響きました。

「このままじゃいけない」
強く思った彼は覚悟を決めます。

「もう逃げない。
ちゃんと自分と向き合おう」

 

 

ユングは父の書斎にこもり
苦手だったラテン語の本を開きます。

するとまた、発作が襲ってきました。

けれども彼は、「負けない」と心の中で
つぶやき、本を読み続けたのです。
2度、3度と発作がやってきても
彼は歯を食いしばって前に進みました。

そしてついに――発作は消え
二度と戻ってこなかった
のです。

 

ユングはこの体験から
こんなことを学びました。

「心の痛みから逃げようとすると、身体が
“逃げ道”をつくってくれることがある。
でも
勇気を出して向き合えば道は開ける

 

「疾病利得」とやさしく向き合う

ユングの物語は、
がんと共に生きる私たちにも
静かに語りかけてきます。

がんという病気は
誰にとってもとてつもなく大きな出来事です。
身体のつらさ、治療のしんどさ
検査結果の不安、先の見えない未来・・

そんなとき、心は無意識に“守り”を求めて
小さな逃げ道をつくることがあります。

「病気でいることで、優しくしてもらえる」
「がんだから、大切にされている気がする」
そんな想いが心に浮かぶことがあっても
決して自分を責める必要はありません。

それは、ごく自然で、人間として
あたりまえの感情だからです。

誰だって、愛されたい。
誰だって、認められたい。

そして、ときに「がん」という体験が
その想いに応えてくれることもあります。

私の母も、入院していた時期
ふだんは見せないような
穏やかな笑顔を浮かべていました。

看護師さんや医師の優しいケアに触れながら、
それまで抱えていた心の渇きが、
少しずつ癒えていったのかもしれません。

 

病気でなくても愛される未来へ

でも、ユングの物語が教えてくれるのは
逃げ道を責めることでも
無理に手放すことでもなく

「逃げ道に気づき
  自分と向き合うことで
  もっと自由に
  愛を受け取れる自分になれる」

ということです。

あなたは、病気があっても、なくても
そのままの姿で
十分に愛されていい存在
です。

がんを抱えながら
日々を生きるということ自体が、
すでにとても大きな勇気を持っている証です。

 

いま、あなた自身に
問いかけてみてください。

「私は、どんなときに
“愛されている”と感じるだろう?」

「病気がなくても
どんなふうに愛を受け取れるだろう?」

「私が、私自身を愛してあげるとしたら・・
どんなことをしてあげたい?」

 

 

心の声に
やさしく寄り添うために

カウンセリングやセラピーは、
こうした問いにじっくり耳を傾けるための
あなたのために時間です。

「病気でいることでしか愛されない」

そんな想いがあなたの中にあったとしても
それを否定せず、やさしく見つめていける時間
を、一緒につくっていけたらと思います。

 

おわりに:あなたの中の光

ユングは
自分の「逃げ道」に気づき
覚悟を決めたことで、
未来への扉を自らの手で開きました。

あなたにも、きっとその力がある。
どんな状況の中にいても、
あなたの心の中には、
静かに輝く光が宿っています。

「病気でなくても、私は愛されていい」

その真実に出会う旅を
私は、あなたと ともに歩みたいのです。

最後まで読んで下さり
ありがとうございました

今年も無事咲いてくれたタイツリソウ

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