がんを経験した私の心の旅【第3話】乳がん発覚とその衝撃

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ロボットのように生きていた私が、
人間になった瞬間

35歳 乳がん

がんになる前は
“感じる”よりも“進める”ことを優先する
日々でした。

でも、35歳でがんを告知されたあの日、
その衝撃が、私の中の
「人間らしい感情」を呼び覚ましました。

それまで
無視し続けてきた心身のサインに
ついに向き合うことになったのです。

 

乳がん検査を開発していた私が、乳がんに

 実は、私は偶然にも
「乳がんの検査の開発」
に関わる仕事をしていました。

毎日のように「リンパ節」「悪性度」といった
専門用語を見聞きしていたのに
まさか、それが“自分のこと”になるなんて
夢にも思っていませんでした。

患者さんのがん組織を使って
実験していた私は
-80℃のキンキンに冷えた冷凍庫から
小指の先ほどのがん組織を取り出し
切ったりすりつぶしたりしていました。

そのときふと
「これは、誰かの身体の一部なんだ」と思うと
心がじわっと動いたのを覚えています。

 

受診のきっかけ

ある日、ふと気づいた胸のしこり。

でも、「まさか・・・」

以前にも良性の腫瘍が見つかったことが
あったため、今回も大丈夫だろうと
2ヶ月ほど放置していました。

そんなとき、妹から電話がありました。

「夢に亡くなったお父さんが出てきて、

 お姉ちゃんのことをすごく心配していたよ」

この言葉が胸に引っかかり、
ようやく病院へ行く決心をしました。

感情よりも効率を優先していた
リケジョの私ですが、受診のきっかけは
少しスピリチュアルでした。

 

告知の瞬間――冷静のつもりだった

 針生検や超音波検査を受けたとき
先生や検査技師さんの雰囲気から
なんとなく雲行きが怪しいことは感じていました。

だから、結果を聞く日は
もし「がんです」と言われたら、何を聞くか
あらかじめメモまで準備して臨みました。

がんに関わる仕事をしていたこともあり、
流れも理解していたので、
とても冷静なつもりでした。

しかし診察室で
「良くなかったです」と告げられた瞬間
手に持っていたペンが
勝手に震え出したのです。

――あれ?私、震えてる。

病院を出て
ショッピングモールの
変な椅子にぺたんと座って
行き交う人たちぼーーっとを眺めていました。

自分だけ
テレビの画面の“こっち側”にいるようで
世界から切り離された感覚。

あとになって思えば
この瞬間こそが、私の固い「よろい」が
壊れた時だったのだと思います。

 

はじめて人前で涙が出た日

手術を終え
術後の回診で、はじめて自分の傷を見ました。

回診は、まるでドラマ『白い巨塔』のようで
偉い先生が数人の医師を従えて
病室に入ってきました。

その中に、私を執刀した
外科医の姿はありませんでした。

はじめて見た傷は、黒い糸で縫われていて
“へちゃむくれて”いました。

偉い先生は
『この傷はいずれ綺麗になりますよ。』
と声をかけてくれましたが、
その言葉を素直に受け取る余裕はなく
“へちゃむくれた”自分の乳房への
ショックの方が大きかったのです。

回診の集団が去ったあと、
同室の方が
カーテンから顔をのぞかせて
「見た?」と声をかけてくれました。

私が入院したのは大阪の下町の病院で
患者さんはみんな気さくな方ばかりでした。

その瞬間――
思わず涙がこぼれました。

私が人前で泣いたのは、それが初めてでした。

ずっと
「泣くのは恥ずかしい」と思っていた私が
自然に、涙を流していたんです。

その後すぐ
看護師さんが飛んできて話を聞いてくれ
夜には主治医も病室に来てくれました。
今思えば、ありがたい時間でした。

それ以来、私は驚くほど涙もろくなりました。


アートセラピーを学んでいたとき作った作品
偶然にも、手術した胸のようにもみえます。

 

見えていなかった世界に涙した朝

術後、はじめて出社したのは4月19日

駅までの道を歩いていると、
新緑がキラキラと輝いて見えて、
それだけで涙がこぼれてきたんです。

それまで、自然が綺麗だと
思ったことなんてありませんでした。

今思えば、あの瞬間は
マインドフルネスのような
状態だったのかもしれません。

私の中の「感じる力」が息を吹き返した
まさにその瞬間だったと思っています。

 

がんは、心との再会の入り口だった

それまでの私は
ロボットのように働き続け、
泣くことも、喜ぶことも、感動することも
どこか遠い世界の出来事のように感じていました。

でも、がんになって
恐れや痛みを感じて、涙が出て
新緑に感動する朝を迎えて――
やっと私は「人間らしさ」を
取り戻しはじめたのだと思います。

がんは確かに怖く、つらかった。
でもその中で、私は確かに感じていた。
ちゃんと心が動いていた。

「生きている」って、そういうことなんだ――
今は、心からそう思えるのです。

次回は
「心との再会:感じる力を取り戻す」
というテーマでお届けします。
お楽しみに

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